インプラントメーカーの中には、トラブルを想定して作られたアフターパーツを用意していないところがあります。アフターケアが十分に行き届かないため、腫れる、ぐらつく、外れるなどの不具合が生じた時に、患者様が安心・満足できるような対応が取れません。治療は安かったものの、長持ちしないという結果に終わるおそれもあります。最低限、治療前にどこのメーカーのインプラントなのかを知っておきましょう。

インプラントシステムはインプラントメーカーごとに多数あり、それぞれに特徴を持っています。同じインプラントメーカーであっても、さまざまな種類があるのです。 インプラントの種類については、患者様の口の中の環境・骨の状態に適したものを選ぶ必要があるため、どれが良いということは一概に言えません。ただし、国内外でシェアの高いメーカーのインプラントは、メンテナンスにおいて大きなメリットがあります。例えば、旅行中のトラブルや引越しなど、他院でのメンテナンス・治療が必要な場合に、シェアの高いメーカーならば対応可能な歯科も見つかりやすいでしょう。しかしあまり採用されていないインプラントメーカーのものならば、対応できる医院が限られてしまいます。転院の可能性がある場合は特に、多くシェアされているインプラントメーカーを選択すべきと言えます。また、メーカー保証のないインプラントシステムもあるので、保証についての確認も行うことをおすすめします。

インプラントの失敗例の中で、重大事故に最もつながりやすいのが動脈損傷です。実際に2007年には、「動脈の損傷」が原因で死亡事故が起きました。これは経験の浅い医師が起こしたものではなく、ベテランの医師が起こした事故であり、フラップレスという手法を用いた手術によるものです。動脈を損傷してしまうと、口腔底に血液が溜まり、呼吸困難に陥ってしまうため、生命の危険につながってしまうのです。

フラップレス手術がなぜトラブルになりやすい?

フラップレス手術とは、歯肉の上からあごの骨に穴を開ける方法。一般的なインプラント手術では、歯肉を切開し、歯槽骨と剥離してからドリルであごの骨に穴を開けます。フラップレス手術は患者さんの負担が少ないという利点がありますが、歯肉を剥離していないため、神経までの距離がわかりにくく、動脈を傷つけやすいという難点があるのです。

インプラント手術で神経を傷つけてしまうと、しびれや麻痺が残ってしまいます。たとえ埋入したインプラントを除去しても、症状が長く残ってしまったり、症状を改善するための神経修復治療が必要になったりする場合があるのです。インプラントは外科手術が必要なので、リスクが全くないとは言いきれません。しかし、重大なトラブルを回避するために、患者様も医院選びは慎重に行う必要があるでしょう。検査を入念に行ってくれるなど、技術的にも精神的にも信頼できる医院を選びたいものです。

安全性の高いインプラント治療にはＣＴ撮影は不可欠？

インプラント治療において、ＣＴ撮影が必須というわけではありません。実際に、パノラマレントゲンで得た情報だけで、インプラント治療を行っている医師も多いことでしょう。ＣＴ設備が整っていない医院も少なくありません。しかし、安全性は高すぎて困ることはないのです。当院では安全確保のため、インプラント治療の患者様には、ＣＴ撮影を必ず行っています。

インプラント手術後に、埋入したインプラントが抜けてしまったり、ぐらついたりといったトラブルは少なくありません。理由は複数あり、次のようなものが挙げられます。

これらは治療した医院・医師に原因がある場合もありますが、患者様に原因があることも考えられます。治療後には、医師から必ず注意事項の説明があるはずです。インプラント治療の成功のために、治療後も医師の指示に従うことが重要と言えるでしょう。